たとえ制度があっても、本当に私たちのことをわかってくれていないと感じ追い詰められました

Jさん

シューズブランド、長年アパレル業界 勤務

緊急事態宣言の休業中にWEBスクールでWEBデザインを身につける

不妊治療や今後の両立を考え 退職

現在は第一子を妊娠中でフリーランスに転身

販売員としてのこれまでの経歴を教えて下さい


昔から洋服が好きで、東京でアパレル職をするのが夢でした。

高校卒業と同時に状況し、服飾の専門学校を経て

シューズブランドに就職しました。


2007年からは国内のティーン向けブランドに転職し8年間勤務。

2015年からは派遣会社に登録し、セレクトショップにて1年間勤務した後に

海外ラグジュアリーブランドにて派遣勤務、元々そこの服のテイストが好きだったこともあり、正社員となり2020年まで働き退職しました。


今はアパレルを離れてフリーランスで自宅近くのフォトスタジオのアシスタントやWEBスクールに通った経験を生かしてキャリアプランナーをしています。



-長く勤めていたアパレル職の退職考えたきっかけは何ですか


新型コロナウイルスの流行により店舗が休業となったことをきっかけに

自分の人生を考えた時に、

今自分が優先すべきことはなにかを考え退職を検討しました。


結婚後、2018年に待望の第一子を授かりましたが、残念ながら流産してしまいました。

その後、なかなか妊娠することができず、

2020年1月から人工授精にステップアップしました。


勤めていたブランドが子ども服も展開しており、女性が多く働いているので

妊娠や出産に理解があると思っていました。


そのため不妊治療を始めたことは会社にも伝えており、応援してくれていました。

しかし、社員さんの多くは独身で働くキャリアウーマンで

不妊治療に急な受診が必要な事など、具体的にわかっていなかったのだと思います。


私は生理や排卵の周期がつかめず、排卵付近に連続して受診が必要な時期があったのですが、

「急に休むことに関してよく思っていないスタッフもいるから、当たり前と思わないで。」

とはっきりと言われてしまいました。


自分自身の体調も

不妊治療を始める前には予測出来ていいなかった

薬の副作用などがあり、精神的にかなりつらかったです。

しかし、迷惑をかけて申し訳ないという思いがあったのでなるべく休まないように働きました。


2020年の1月から4月まで不妊治療を行いましたが成果のない状態で、

丁度その時に新型コロナウイルスの流行により休業要請が出され

お仕事が在宅勤務になったので病院にも集中的に通うことができました。


2020年6月から徐々にお店での業務が再開する中で

このまま働き続けたら忙しさの中で妊活が進まなくなってしまう。


自分が今優先すべきことは妊娠に向けて病院に通うことであると考え、退職を検討しました。



-退職を考えていることを会社に伝えた際、どのような対応でしたか?


退職を考えた際、店長よりももっと上の立場の上司に相談しました。

すると、大きな店舗は売上も大切なので、社員として働くのであれば欠勤はして欲しくないとのことで

病院に通いやすい場所にある小さな店舗への異動を提案されました。


さらに今後のパートタイムで勤務することも提案がありました。

私としても妊娠・出産・子育てを考えてゆくゆくはパートタイムだと思っていたので、パートタイム勤務を視野にいれた異動でした。


しかし実際に移動してみると異動先は社員が3人、平日は2人でお店を管理しなければいけないので自分が休むと1人になってしまう。


絶対に休めない状況でした。


さらに店長が日常の生活の会話の中で

「パートはいらないよね。」 等と話しているのを聞きました。


不妊治療を継続しながらも勤務を続けようとしての異動にも関わらず、休めない店舗であったこと

今後パートタイムを検討している中でいらないといった発言を聞いて、

追い詰められる気持ちでした。


不妊治療のみでなく、

今後アパレルに勤めながら子育てをするイメージを持つ事ができなくなりました。

もう、辞めようと決意しました。



-お仕事と子育てがしやすい環境でしたか


そうですね。60%くらいです。(笑)


店舗によって違いますが、大きな店舗であれば人数が多いので融通が利きます。

シフトも9時から16時で固定することもできます。

しかし、子育てを理由に早番勤務を良く思わないスタッフがいました。


「なんであの人ばかり早番なんだ。」と陰で言われているのを聞いていました。


私自身は、お子さんがいるのだから仕方がないと思って働いていましたが、悪い事をしていないのに肩身が狭い思いをしながら働くのは辛いと思います。


また、お子さんの発熱などの急な休みに関しても、融通は効くけれど、はっきりと

「急に休まれても困りますよ。」と言われていました。


例え融通が利いたとしても、そのように言われてしまうと精神的に参ってしまい、

両立が厳しくなると思っています。



‐退職をされてから、将来の子育てのことを考えてどのようなことをされたのですか?


2020年4月の緊急事態宣言での休業中に今後のことを考え、自分自身にスキルを身に付けたいと考えました。


自分でインターネットで調べると、WEBデザイナーという仕事に出会いました。シフト制でテレワークもできない環境で働いていた立場としては自分の技術だけで働けるということがとても魅力的でした。


WEBデザイナーになるための手段として

まずインターネットで有名なWEBスクールを調べて口コミを見ました。さらにそこを基準に費用な勉強期間など自分にあったもの(休業要請中にできるように)を探しました。

体験レッスンも色々なところが実施しているので参加するのもよかったです。

そこのWEBスクールでWEBデザイナーのスキルを身に付けました。



-将来について、理想の「はたらく」スタイルはありますか


現在、WEBスクールをきっかけに色々なジャンルの方々との出会いがあり

フリーランスでライティングやWEBスクールのキャリアアッププランナー、フォトスタジオの手伝いをしています。


フリーランスになって本当によかったと思っています。

自分の可能性が一気に広がった気がしています。

収入面ではまだまだ保障がなく不安定ですが、それに勝るものが得られました。


今後も子育てを優先しながらフリーランスに働くことができればいいな、と思っています。


アパレルの仕事はとても好きなので働きたいという気持ちがないわけではありませんが、

これまでの経験から、私はアパレル業界での子育てとの両立は無理だと思っています。


私が退職した後、勤めていた会社に不妊治療休暇ができたと聞きました。

不妊治療を行う場合、半年間無給で休むことができるシステムです。


不妊治療は毎日休みたいわけでもないし、無給だと治療費が払えません。

排卵に合わせて、その付近に数時間でいいので病院に通う時間が欲しいのです。

このシステムを聞いて、本当に私たち当事者のことをわかってくれていないと改めて思いました。


また、他のスタッフが流産してしまった際、上の人から本人に

流産してしまったことを伝えるとみんなが気をつかってしまうので

言わないように、と言われたそうです。


妊娠や出産への理解や応援がまだまだ進んでない業界なのだと痛感しています。

アパレル業界が少しでも変わってくれたらまた働きたいのに…という思いでいます。

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