子どもの熱や予防接種などに有給を使うことが出来ない雰囲気でした。
Tさん
国内モード系ブランドにて正社員で勤務
第一子出産し復帰後はアルバイト雇用となり
第二子出産後に退職
子ども(5歳、2歳)
―販売員としての経歴を教えて下さい
大学を卒業後、海外で働くことが夢だったので就職は考えていませんでした。
海外へ行く資金を貯めるために、洋服が好きだったこともあり、アパレルで働くことにしました。ブランドを決めた理由は、好きなテイストであり長く働けそうだと思ったからです。
アルバイトとして店舗で働く中で、マネージャーより次年度の新卒採用の枠があるから受けてみないか、と声をかけて頂きました。
元々正社員になるつもりはなかったけれど、新卒採用して頂けるチャンスであることや、家族の勧めもあり正社員の面接を受けることにしました。
2011年の卒業と同時に正社員として働くことになり、海外移住ではなく日本で販売員として働くことに決めました。2014年には憧れていたブランドリーダーを任されるようになりました。
2015年に結婚、同10月に第一子の男の子を出産しました。産後半年の2016年の4月に時短勤務として復帰。
2017年からはアルバイト雇用となり2019年に退職しました。
―販売員のどのようなところにやりがいを感じていましたか
販売のノルマはないけれど、個人売り上げの目標値があり、初めは個人の目標値を達成することにやりがいを感じていましたし、会社からも評価されました。
しかし、働いていく中で個人の売り上げを伸ばすことよりもチームで目標を達成したい、という気持ちが強くなりました。
ブランドの特徴として、一つの店舗にターゲットを分けた複数のラインがあり、私はレディースの中のひとつのラインを担当していました。メンバーは5人ほどでした。
個人ではなく、自分の所属するライン全体を盛り上げ、売り上げを伸ばすことを目標に
接客の仕方など、勉強会を通じて接客技術の向上に努力しました。
具体的には、来店したお客様がみている洋服から自分のラインの服ではどのような服が好みか分析し、合いそうなものを提案しました。
みんなで喜びを分かち合い働いていけるところにやりがいを感じていました。
その中でブランドリーダーとして引っ張っていきたいと思うようになり、
ブランドリーダーを目指し一層の接客技術の向上や、売り上げが伸びなかった時には分析をしていきました。
その甲斐あって2014年にはブランドリーダーに昇格し、さらに年間の売り上げ目標を達成できたことは大きな功績だと思っています。
―第一子を出産後、生後半年で仕事復帰した理由はなんですか?復帰して良かったこと、大変だったことを教えて下さい。
一番の大きな理由は保育園です。
住んでいる地区が1歳児の入園が厳しいことを知っていたので、生後半年でも0歳時枠で入園したかったです。
また、長男が全然寝ない子でずっと抱っこをしていたので、仕事復帰することで自分の時間ができると思いました。
実際復帰して気持ちが楽になりました。
ミルクと母乳の混合で育てていたので息子もスムーズに保育園の環境に慣れ、また生活のリズムも整って、母の抱っこじゃなくてもお昼寝が出来るようになり、夜間の夜泣きも減りました。
周りより若く子どもを産んだので保育園で育児のプロと一緒に子育てを出来るのが心強かったです。
大変だったことは、時短勤務で17時が定時でしたがお客様の接客に入っていると、自分の都合で帰宅することができないのでお店を出る時間が17時を過ぎてしまうことがあることです。
0歳時は延長保育ができないので18時まで。そのお迎えに間に合わないことが多々ありました。
保育園の先生からも度々注意を受けてしまいました…。
市のファミリーサポートを利用しお迎えサービスを提案されましたが、遅くなる日が予めわからないので、事前予約の必要なファミリーサポートは利用できませんでした。
遅くなった日はとにかく先生に謝って乗り切りました。
―お仕事と子育てが両立しやすい環境でしたか
私にとっては両立がとても辛かったです。
週休2日制でしたが、子どもの熱や予防接種などに有給を使うことが出来ない雰囲気でした。独身時代からも有給を使ったことはありませんでした。
なので、熱を出して休んだ日はその日が公休となり、本来公休としてあった休みは自動的に出勤となってしまいました。
熱で公休を使っていると顧客様宛のお手紙なども溜まってしまい休みなく働くことも多かったです。
子どもが熱を出すと、側にいてあげたいのに仕事の休みがなくなってしまうことを考え
モヤモヤとした、行き場のない気持ちになりました。
元々、前向きな性格なので当時はキツイとは思っていませんでした。
でも、帰宅するとめまいに襲われて目を開けられなくて倒れ込むことがありました。
今考えると体は相当辛かったのだと思います。夏休みや冬休みも連休は取れませんでした。
特に年始の1月1.2日は初売りで絶対に休めなかったので、家族でお正月を過ごすこともできませんでした。
働くことに否定的ではなかった夫も「保育園が休みの日に働くのは…」と嫌そうな顔をされてしまいました。
独身の時は対応できていて負担に思っていなかったことがとても負担になりました。
私の他にも子育て中の方はいましたが、小さい子がいるのが私だけだったので共感は得られませんでした。
―育児と仕事を両立する際に周囲のサポ-トは得ることができましたか?
夫は優しく、働くことにも理解してくれていましたが、夜勤の多い仕事で家にいないので、サポートといえば洗い物をしてくれたことくらいです。
保育園の送迎を含めたその他の家事と育児は全て私がやっていました。特に夫に不満はないですよ。強いて言うなら、夫の帰宅が20時ころで、その時間に食事を出すので
帰宅して子どものご飯や片付けをして…夫の帰ってくるまでに準備するのは忙しかったですね。きっと遅れたりしても夫は怒らないと思うのですが、なんとなく頑張っていました。
実母も近くに住んでいますが、年の離れた弟が当時はまだ小学生で、イベントでどうしてもお迎えにいけない時のみお迎えをお願いした程度です。
サポートを得よう、という考えではなく自分で出来る限り頑張りたいと思っていました。
職場に関しては、早番の仕事を私と入ったばかりのアルバイトの子の2人だと、急な子どもの体調不良時にお店オープンができなくなるので、シフトの配慮をしてほしいとお願いしました。
嫌な顔はしないで聞いてくれますが、実際のシフトには繁栄されていませんでした。
管理職が当時は独身の方しかいなく、子どもが小さいと出がけの吐き戻しや排便などで
“朝時間通りに家を出ることができない時がある”といった具体的な理解を得ることはできませんでした。
お子さんを育てながら働いているアルバイトのスタッフからは「もう、いいから帰りなよ」と声をかけてもらったことはありますが、管理職からそのような声掛けはありませんでした。
当時は若くて初めての事ばかりだったので、職場にもっとサポートをして欲しいという事まで頭が回りませんでした。とにかく毎日を頑張ることでいっぱいでした。
退勤間近の接客に関しても、定時で帰宅するために途中から接客をかわることはお客様の信頼関係にも関わるのでしませんでした。変わってほしいと言う気持ちではなく、なんとか自分でしようと考えていました。
―退職の理由はなんですか?
1人目の子育てをしながら働くのがとても大変で、マネージャーに
子どもの発熱時に有給を使わせて欲しいと頼みました。
しかし、それは出来ないので休むならアルバイトになるしかないと言われました。
正社員は厳しいかなと正直自分でも思っていたことや、時短勤務が3歳まで適応がなく、3歳以降はアルバイト勤務を予測していたので仕方ないことだと思いました。
ちょうどその頃、出産後初のボーナスがあり、発熱による欠勤もあって驚くくらいの低い金額だったので正社員としての働くメリットを失いました。
家のことと仕事に追われ、こんなに一生懸命やっているのに…という気持ちになりました。
2017年からアルバイト勤務になり、その後第二子を妊娠しました。
第二子を妊娠した時はアルバイト雇用になっていたのでとても気が楽でした。また産休育休を得て復帰しようという気持ちでした。
アルバイト雇用になる際には、産休育休も取ることができると聞いていたのですが、
非正規雇用は育休が延長できないことを産んでから知りました。私の勉強不足です。
下の子が2月生まれで、希望者の多い1歳児からの入園しか選択肢がなく、保育園に落ちてしまいました。
育休も延長ができず、もう退職するしか選択肢がありませんでした。保育園さえ入れていれば、育休が延長できれば、働き続けたかったという気持ちが今もあります。
正社員は時間的・体力的に厳しい、けれどアルバイトになると保育園が入れないことを自分が経験して初めて知りました。
―将来について、理想の「はたらく」スタイルはありますか?
下の子が幼稚園に入ったら扶養内で仕事を始める気持ちでした。
しかし、幼稚園の延長料金が上の子と2人で月々5万円程かかり扶養内で働くとなると収入として得る部分がすごく少ないので、小学校に上がってから勤務を考えています。
平日の決まった時間で勤務したいという気持ちがあります。
販売員にはこだわっていないけれど、やっぱりおしゃれが大好き、お話しも好きなので販売の仕事ができたら嬉しいなぁと思っています。
また、振り返って考えると当時はサポートのない中で勤務していたと感じました。
当時はそれが当たり前で不満と考えてもいませんでした。
もし、自分がまた販売の仕事をするときが来たら小さなお子さんがいるスタッフに対して
自分がしてもらったら気が楽になったような声掛けやサポートができたらいいな、と思います。
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