ママと声楽家 そのどちらもが私の輝く場所
声楽のスキルを生かし、「声楽家」「ボイストレーナー」として様々な場所で活躍中の玉村和美さん。ご自宅のスタジオでは声楽教室も主催しています。小学校低学年のお子さんを育児中、そして現在第二子妊娠中の彼女に、「好きを諦めずに働き続ける」ために必要なことをお話いただきました。
声楽家、ボイストレーナー
玉村 和美さん
歌は私の喜び
音楽好きのお母さまの影響で、物心ついた時には音楽教室に通っていて、幼いころから歌うことが大好きだったという玉村さん。
中学生のときNHK全国声楽コンクールで全国大会に出場します。
「はじめて外の世界で歌って、上手な人がたくさんいることを実感しました。
賞がとれずに悔しい想いをしたことを覚えています。
同時に、NHKホールの舞台に立てたこと、テレビ放映されたことが嬉しく、またこの場所に帰ってきたいと思いました。」
その後、高校、大学、大学院と、声楽科に所属し、知識を深め、技術を磨いていきます。
好きを仕事にするためにもがいた時期
声楽を突き詰めるために大学院まで進学したけれど、卒業後すぐに音楽に関する仕事に就けたわけではなかったそうです。
同年代の友人らが就職する中、アルバイトをしながら音楽を仕事にするために劇団に所属。
さらに勉強を続けます。
大きなことを成し遂げなくてもいい、好きなことを細々とでも続けたい、と継続した結果、次第にボイストレーナーや声楽家としての仕事の依頼を受けるようになっていきます。
妊娠・出産を経ても歌に対する想いは変わらず、産後6か月後には仕事に復帰。
「育児休暇中は不安な気持ちでした。
やっと音楽で収入を得られるようになっていたのに、仕事から離れなくてはいけない。
自分の戻る場所があるのか、社会に置いていかれているような感覚に陥っていましたね。
生まれたばかりの息子を連れて自身のレッスンに通い、声楽のスキルを落とさないよう気を付けていました。
なので、仕事復帰に対する不安はなく、むしろ早く仕事がしたい!と考えていました。」
玉村さんが仕事の時は同居するお母さまが息子さんの面倒をみてくれたりと、ご家族が応援、理解してくれていることが、仕事を続けられる理由のひとつだと言います。
働く私とお母さんの私 今はバランスがとれている状態
ママとしての経験が仕事に生かせることもあるそうです。
指導の場のひとつでもある洗足学園中学校高等学校の生徒さんたちが歌の発表をするときなど、本人の頑張りや力を認めた上で、それを支えてくれている保護者の方がいること、その方々にありがとうと感謝の気持ちをもつことを伝えている、と言います。
生徒さんの表情から、元気がないな、と気が付くこともあるそうです。
「歌声はナマモノです。
自分の指導の仕方や注意をするタイミングひとつで結果が変わっていきます。
それが面白いと思うし、やりがいにも感じます。
私が一生懸命、エネルギッシュに向かえば、生徒さんも真剣にそれに答えてくれる。そんな風にして合唱をつくっていく過程に醍醐味があります。
指導者の立場からみることで歌い手としての自分へ還元されることや、その逆もあり、歌を通して自身が成長しているのも感じます。
私にとっては、働く場所と育児をする場所、その両方が輝く場所になっていて、今はそのバランスがうまく取れている状態です。」
これまで、たくさんの人に支えられて歌うことを続けてきたという玉村さん。
これからも周りの人への感謝の気持ちを忘れずに、第二子出産後も同じように仕事を続け、大好きな歌に関わっていきたいと話してくれました。
文:平野優子
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